児童虐待の現状
令和2年中、全国の警察が「児童虐待の防止等に関する法律」第6条の規定に基づき児童相談所へ通告した児童数は106,991人(前年対比8,769人、8.9%増)、児童虐待事件として検挙した件数は2,133件(同161件、8.2%増)、検挙事件に係る被害児童数は2,172人(同181人、9.1%増)に上り、いずれも過去最多となりました。
県内でも全国の傾向と同様で、令和2年中、警察が児童相談所へ通告した児童数は、470人(前年対比25人、5.6%増)と増加傾向であり、中でも児童の面前で配偶者やその他の家族に暴力を振るう、いわゆる面前DVによる心理的虐待の通告人数が全体の約6割を占めています。
児童虐待は家庭の中で繰り返されるため、より早く発見して対応することが、被害児童を救うことにつながります。
児童虐待とは
身体的虐待
- 首を締める、殴る、蹴る、投げ落とす、逆さづりにする
- 激しく揺さぶる
- やけどをさせる
- 溺れさせる
- 冬に戸外に閉め出す
- 意図的に子どもを病気にさせる
性的虐待
性的ないたずらを強要・教唆する
- 性的関係を強要する
- 性器や性交を見せる
- ポルノグラフィーの被写体にする
ネグレクト(養育保護義務の拒否・怠慢)
- 適切な衣食住の世話をしない
- 家に閉じ込める(学校に登校させない)
- 医療ネグレクト(病気になっても病院へ連れて行かない)
- 子どもを家や車中に長時間放置する
- 子どもの情緒的欲求を無視する
- 同居人の虐待の放置
心理的虐待
大声や言葉による脅し
- 子どもの心を傷つけることを言う
- 子どもを無視したり、拒否したりする
- 他のきょうだいと著しく差別的な扱いをする
- 子どもの前で配偶者などにDV(暴力、暴言、無視など)をする
虐待が子どもに与える影響
身体的発達への影響
食事が不十分で、発達に必要な栄養が摂れなかったりすることで、低身長、低体重、栄養不足など発育不良になります。
また、虐待によるストレスや欲求不満、保護者との心の交流不足などでも児童の体の発育に影響を及ぼします。
知的発達への影響
頭部を殴られる、激しく揺さぶられるなどの外傷により、脳や神経系への障害が起こり、児童の知能、言語等の発達に遅れを生じさせることがあります。
そのような外傷を加えられなかった場合でも、好奇心、環境適応、コミュニケーション、自己表現を抑圧され、知的な発達が遅れることもあります。
心理的な影響
乳幼児期から保護者との安定した親子関係の基盤が得られず、強い緊張、不安の中で、絶えず「臨戦態勢」を強いられると、情緒不安定、自己否定感、強い不安感など心に大きな問題を生じさせることがあります。
また、苦痛な体験から自分を守ろうとする防衛的な反応として、感情、思考、行動、記憶の統合性の欠如など不適応障害が生じたり、時間の経過によっては癒やされない心理的外傷(トラウマ)を生じる場合があります。
行動への影響
虐待経験を通して、問題解決のための攻撃性を学習し、目的達成のために粗暴な言動を行うようになります。
また、対人関係において適度な距離を保てず、他者との人間関係における虐待関係の再現等の反応を示すこともあり、自傷行為などへつながる場合があります。
特に、虐待を受けた子どもが成長し思春期に差し掛かると、虐待の影響が家出や万引き、器物損壊など非行となって表れる傾向があります。
虐待から子どもを救うために!
虐待から子どもを救うには、周りの大人がいち早く子どものサインに気付き、確実に専門機関につなげることが大切です。
あなたの周りに、このような子どもはいませんか?
虐待を受けている子どものサイン
不自然な傷やアザがある。
- 着衣や髪の毛がいつも汚れている。
- 食事を与えられていない。
- ひんぱんに怒鳴られ、ひどく泣いている。
- 夜遅くまで一人で遊んでいる。 など
「虐待かもしれない?」と感じたら
手遅れになる前に迷わず連絡(相談・通告)を
「もしかして・・・」を通告するのは、すべての国民の義務です。
- 匿名の通告でも受け付けられます。
- 虐待の現場を見ていなくても構いません。
- 連絡(通告)した人が特定されないように定められています。
児童相談所共通ダイヤル
児童相談所全国共通ダイヤル
☎ 189(いちはやく)
緊急を要する場合は110番、もしくは最寄りの警察署へ連絡してください。
匿名通報ダイヤル
ウェブサイトからも匿名で情報提供できます。情報は、捜査等に役立てます。
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