「信号機設置の指針」について

交通信号機の設置基準は、警察庁が「信号機設置の指針」として全国的な統一基準を定めています。
指針では、全てに該当しなければならない必要条件が5つ、いずれか一つに該当しなければならない択一条件が4つあります。
条件に該当しなくなった既設の信号機については、撤去の検討が必要となります。

必要条件(下記5つの条件全てに該当)

①一方通行の場合を除き、赤信号で停止している自動車等の側方を自動車等が安全にすれ違うために必要な車道の幅員が確保できること。

車両同士のすれ違いに十分な幅員がない場合、すれ違うことができる場所へ退避するために信号に従わない状況が発生したり、歩行者の歩行スペースにはみ出して走行する車両や、青信号だからといって幅員が狭い道路を無理に通行しようとする車両による事故の発生を懸念したものです。

②歩行者が安全に横断待ちをするために必要な滞留場所を確保できること。ただし、歩行者の横断がない場所については、この限りではない。

信号待ちをする歩行者が事故に遭うことを懸念したものです。

③主道路の自動車等往復交通量が最大となる1時間の主道路の自動車等往復交通量が原則として300台以上であること。

信号を守る意思のある歩行者であっても、12秒以上車両が来ない場合には、信号を無視して横断を開始する割合が増えるという傾向が見受けられます。
一定の交通量がない道路(12秒に1台=毎時300台未満)では、歩行者の信号無視を誘発することが懸念されるためです。
ピーク時(交通量が1日の中で最も多い1時間)であっても守られない信号機は、終日守られない信号機となり、児童の教育にも好ましくありません。

④隣接する信号機との距離が原則として150メートル以上離れていること。ただし、信号灯器を誤認するおそれがなく、交通の円滑に支障を及ぼさないと認められる場合は、この限りではない。

隣接する信号機の表示が異なる場合の見間違いや信号機の見落としによる交通事故を懸念したものです。
また、交通量が多く交差点間の距離が短い場合、信号機待ち車両が隣接する交差点まで連なることにより、渋滞を悪化させる原因になります。

⑤交通の安全と円滑に支障を及ぼさず、かつ、自動車等の運転者及び歩行者が信号灯器を良好に視認できるように信号柱を設置できること。ただし、信号柱を設置せずに、自動車等の運転者及び歩行者が信号灯器を良好に視認できる場合は、この限りではない。

道路下部が暗渠(あんきょ:おおいをした水路)であったり、橋桁や歩道橋、トンネル、踏切、河川に近接するなどして柱が立てられない場所や、柱が建てられたとしても信号灯器を十分な高さに設置できないなど、物理的に設置が困難な場合や、十分なスペースがない場所に信号柱を建てると、歩行者が車道を歩くことになり、かえって危険になる状況が発生することなどを懸念したものです。

交差点図

択一条件(下記4つの条件のうち、いずれか一つに該当)

①信号機を設置しようとする場所又はその付近において、信号機の設置により抑止することができたと考えられる人身事故が信号機の設置を検討する前の1年間に2件以上発生しており、かつ、交差点の形状、視認性、車両の速度、当該場所における物損事故の件数等から事故発生原因を調査・分析した結果、交通の安全の確保のため、他の対策により代替ができないと認められること。

偶発的ではない交通事故が頻発している場所で、事故の発生状況が出会い頭であるなど、信号機の設置により交通事故を抑止できた可能性が高いものであり、信号機の設置以外には事故防止の方策がないと認められる場合です。

②小中学校(特別支援学校の小中学部を含む。)、幼稚園、幼保連携型認定こども園、保育所、児童公園、病院、養護老人ホーム等の付近において、生徒、児童、幼児、身体障害者、高齢者等の交通の安全を特に確保する必要があること。

児童や高齢者、身体障害者等の方々が恒常的に利用する施設の周辺道路や、歩行者が公共交通機関の駅・バス停を利用するための経路であり、交通の安全を特に確保する必要がある場合です。

③交差点において、ピーク1時間の主道路の自動車等往復交通量及びピーク1時間の従道路(従道路が複数ある交差点にあっては、最も自動車等流入交通量の多い従道路)の自動車等流入交通量が、図「信号機の設置及び撤去における自動車等交通量の条件」(別添)で示す領域①にあること。

主道路と従道路の関係から、信号機を設置しなければ円滑な交通を確保できない場合です。

④歩行者の横断の需要が多いと認められ、かつ、横断しようとする道路の自動車等往復交通量が多いため、歩行者が容易に横断することができない場合であって、直近に立体横断施設がないこと。

駅前が幹線道路に接続するなどして、横断歩行者が多く、車両交通量も多い場所で歩行者の安全な道路横断を確保する必要がある場合です。立体横断施設とは、歩道橋以外にも地下道やペデストリアンデッキ(駅前デッキなど、歩道橋と広場を兼ね備えた建築物)などを指します。

信号機の新設について

信号機の新設については、「信号機設置の指針」に基づき設置を検討していますが、指針に示される基準は、信号機の設置が検討できる基準を示しており、条件に該当したからといって、必ずしも信号機が設置されるわけではありません。
事前に交通量や交通事故の発生状況、交差点の形状などを調査・分析して必要性の高い場所に設置しています。
また、信号機の設置は道路改良を伴う場合が多く、道路の管理者との協力が必要となるほか、地域住民の意見を考慮して、交通の安全と円滑のために真に必要な信号機の設置に向けた検討を行います。

信号機の撤去について

信号機の撤去については、新たな道路の開通、小中学校等の廃校、公共施設、大型商業施設等の移転や閉鎖等により交通量が減少するなど、道路の利用者を取り巻く交通環境が変化し、設置されている信号機の必要性が失われ、「信号機設置の指針」が示す基準に該当しなくなった信号機を撤去しています。
信号機の撤去を行う前には自治会等を経て地元の方々への説明を行い、理解を得てから撤去を行います。
また、信号機撤去後に安全性が低下することがないように、各種安全対策を実施しています。