テロの未然防止対策

1 情報の収集・分析の強化

テロを未然に防止するためには、広い分野からより多くの情報を収集して分析し、これを対策に役立てることが必要です。テロは極めて秘匿性の高い犯罪であり、収集される関連情報は断片的なものが多いため、情報の蓄積と総合的な分析を行っています。

2 関係機関との連携による水際対策の強化国際テローフェンス奥にテロリスト

テロリスト等の潜入を防止するためには、国際空港や港において出入国審査や輸出入貨物の検査を強化するなどの「水際対策」を推進することが重要です。
警察では、出入国在留管理局、税関等の関係機関と連携した空港・港湾水際対策や危機管理体制を構築し、施設警備の改善を図りながら、具体的な事案を想定した訓練を実施しています。

3 「官民一体となったテロ対策」の推進

テロを未然に防止するためには、警察による取組みだけでは不十分であり、関係機関や民間事業者、地域住民の方々と警察が緊密に連携し、官民が一体となってテロ対策を推進することが必要です。
警察では、爆発物の原料となる化学薬品等を販売する販売事業者に対し、不審な購入者の来店や問い合わせを想定したロールプレイング型訓練を実施して本人確認の徹底や不審な購入者に関する通報を依頼しています。また、化学薬品等を取り扱ったり、保管する関係団体や学校等に対し、戸別訪問を行うなど、管理強化を要請しています。
そのほか、ホテル、レンタカー、インターネットカフェ等、テロリストが利用する可能性がある事業者に対しても協力体制を構築し、テロ対策を推進しています。
また、地域住民の方々には、不審な行動をとる人物や不審物を発見した際、速やかに通報していただくよう各種イベント等の場において広報活動を行い、協力依頼を行っています。

4 重要施設等の警戒警備強化
ソフトターゲット

米軍基地等の重要施設に対するテロや不法事案の発生は、我が国の治安や国民生活に著しい影響を及ぼす他、国際問題にも発展しかねません。また、最近では、駅や劇場等の不特定多数の人が集まる施設、いわゆる「ソフトターゲット」を標的とした無差別テロが世界各地で発生しており、これまで以上に警戒や警備の強化が必要とされています。
警察では、重要施設の警戒警備を強化するとともに、テロが発生する可能性がある施設等に対して自主警備の強化を働きかけたり、制服を着用した警察官によるパトロールやパトカーの活用等による警戒を実施して、テロの防止対策を強化しています。

事態対処能力の強化

1 爆発物処理部隊等の対処能力向上

機動隊2警察では、機動隊に爆発物対策部隊を設置し、爆発物使用事案の発生に際して、迅速且つ的確に爆発物を処理し被害の発生を防止するため、日々訓練を行っています。
NBCテロが発生した場合、迅速に原因物質の検知・除去等に当たるNBCテロ対策部隊や、銃器等を使用した事案に対処する銃器対策部隊を設置しています。

 2 自衛隊との共同訓練

警察では、平素から自衛隊と緊密な情報交換を行うとともに、武装工作員等による不法行為が発生した場合を想定した共同訓練を実施するなど、重大テロ等が発生した場合に備えた対処体制の強化を図っています。